Brad Mehldau Trio ブラッド・メルドー・トリオ@国際フォーラム ライブレポート
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こんにちは、狛江人(@komaebito)です。

2019年6月1日(土)に、国際フォーラムにて「ブラッドメルドートリオ」を見てきました。

デビュー時、自らのトリオ作を“アート・オブ・ザ・トリオ”と称し常にジャズ・ピアノの芸術性を追求してきた現代最高のジャズ・ピアニスト、ブラッド・メルドーは、レディオヘッドやオアシスなどの楽曲をいち早くカバーするなど、ジャズという音楽の可能性を拡張させ続けてきました。

ビル・エヴァンスからキース・ジャレットを経由し、21世紀のジャズ・ピアノ界は、確実に、彼によって牽引されてきました。世界中を飛び回り、いくつものツアーを成功させるとともに、著名なミュージシャン達との数々のコラボレーションワークも残しているそのブラッド・メルドーが来日し、現在のレギュラートリオとソロピアノによって、今なお進化し続けている圧巻の演奏を披露します。至高のジャズ・ピアノを体感できる2019年最注目のコンサートの一つになること間違いありません。

では、ライブレポート&感想をまとめてみたいと思います。

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7年ぶりのトリオツアー

ブラッドメルドーのトリオを見るのは実に7年ぶりでした!

前回はサントリーホールで見ましたが、今回はトリオでの3公演+ソロで1公演ということのようで、チケットも完売の公演もあったようで、相変わらずの人気っぷりでした。

実は、ブラッドメルドー自体は、7年ぶりではなく、以前にコットンクラブでのJoshua Redman(ts)とのデュオir以来でした。こちらは2016年10月公演だったので、2年半ぶりですね。

こちらは当日ギリギリ行ったのですが、席が完全に満席で会場の外から辛うじて見える位置で立ちながら見たという記憶があります。今や小さなライブハウスで見ることが困難なピアニストの一人です。

さて、今回のトリオメンバーを紹介しましょう。

・Brad Mehldau(p)
・Larry Grenadier(b)
・Jeff Ballard(ds)

7年前と同じ安定のメンバーですね。もうおそらく最後までこのメンバーなんじゃないかなという気がしています。ブラッドメルドートリオでのアルバムでは初期のみドラマーだけが違い、その後ジェフバラードが入った後は固定メンバーです。

Brad Mehldau(P)
1970年、フロリダ州生まれ。NYのザ・ニュー・スクール大学(ロバート・グラスパーやホセ・ジェイムズらは後輩となる)を卒業後、ジョシュア・レッドマンのバンドに加入し、1995年にメジャーのワーナー・ブラザースから大々的にデビュー。2004年作『ライヴ・イン・トーキョー』以後はノンサッチに在籍。そんな彼の近リーダー3作は、ザ・パンチ・ブラザースのマンドリン奏者であるクリス・シーリーとのデュオ作(2017年)、J.S.バッハと自作曲を交互に並べるピアノ・ソロ作『アフター・バッハ』(2018年)、鉄壁のトリオによる『シーモア・リーズ・ザ・コンスティチューション』(2018 年)。
Larry Grenadier(b)
1966年、サンフランシスコ生まれ。恵まれた音楽家庭に育ち、10歳でトランペットを吹き、翌年にはベースを弾き始める。1991年からはNYに居住し、チャールズ・ロイドやパット・メセニーら大御所たちの表現に次々と関与。メルドー・トリオにも1990年代半ばからずっと関与してきた。数多の参加アルバムに加え、フライやジャック・ディジョネット他らとのカルテット・ハドソンなどの自己バンド作もリリース。シンガー・ソングライターのレベッカ・マーティンを妻に持ち、一緒に来日公演をしたこともある。
Jeff Ballard
1963年生まれ、カリフォルニア州サンタクルーズで育つ。14歳からドラムを始めた。大学では音楽を専攻し、巨匠たちのジャズ・ドラム演奏を研鑚。20代半ばには、レイ・チャールズのツアーに3年間参加もした。1990年以降は、チック・コリア、ブラッド・メルドー、カートロゼンウィンケル、パット・メセニー、ジョシュア・レッドマンらの作品に参加。リーダーとしてもマーク・ターナーとラリー・グレナディアとのトリオ・バンドであるフライを組みECMからアルバムを出すとともに、2014年にはソニー/オーケーから自己作『Time’s Tales』を発表している。
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セットリスト

前回サントリーホールで見たときは、ビートルズやビーチボーイズといったポップスをアレンジした曲が多かったなという印象がありましたが、今回はシンプルにオリジナル曲やスタンダードといった曲が多かったです。

ブラッドメルドーというとやはり、変拍子(※)というイメージが強いのですが、今回は割とシンプルな4ビートや3拍子が多かったです。

変拍子
混合拍子(5拍子、7拍子、8拍子、11拍子、13拍子、15拍子など)のことをいう
今回演奏した曲
Unrequited (B. Mehldau)
・Sehnsucht (B. Mehldau)
・Gentle John (B. Mehldau)
・Bee Blues (B. Mehldau)
・Inchworm (F. Loesser)
・Backyard (B. Mehldau)
・From this moment on (C. Porter)
・When I Fall in Love (V.Young/E. Heyman)
・Tenderly (W. Gross)
・Secret Love (S. Fain/P.F. Webster)
・Long Ago and Far Away (J. Kern, I. Gershwin)
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ブラッドメルドーの魅力

ブラッドメルドーは、自分も大好きなピアニストです。改めて今回のライブを通してどのようなこと頃に魅力があるのかを説明していこうと思います。

左手が自由すぎる

これはブラッドメルドーの代表的な特徴の1つです。

通常ジャズピアノを弾く際には、右手でメロディーを弾き、左手でバッキング(伴奏・和音)を弾くのが一般的なイメージです。しかし、彼は違います。

右手でメロディーを取っていたと思ったら、そのまま左にバトンタッチし、手でもフレーズやメロディを弾き右手左手の概念を覆したピアニストの一人なのです。

上記はジャズで有名な「チュニジアの夜」という曲をJoshua Redman(ts)とカルテットでやっている演奏なのですが、この動画の1分40秒あたりを聴いてみてください。左手が完全に右手の役割をしていますよね!

こんなソロフレーズ今までのジャズピアノで聴いたことあったでしょうか?衝撃的でした。

拍子を自由自在に操れる

ブラッドメルドーのもう1つの印象は「ザ・変拍子ピアニスト」です。

大学生のころにブラッドメルドーを聴いたのですが、衝撃的だったのが、この曲です。

「All The Thinsg You Are」というスタンダードの曲なのですが、これを7拍子でやっています。

それまでも変拍子というもの自体は、ジャズにありました。代表的なのは「Take Five」(5拍子)

ジャズというと、「Swing」や「4ビート(4拍子)」というイメージが強かったのですが、それを「7拍子」で調理するというのは当時は斬新だった記憶があります。そして、それをさらりと弾いてしまう。。。まさに天才・鬼才とはこういう人のことを言うのでしょう。

POPSやROCK音楽もアレンジしてしまう

上記でもお話ししましたが、ブラッドメルドーはいろいろなジャンルの音楽をジャズとして表現しています。そのこと自体は、そこまで珍しくはないのかもしれませんが、いわゆる「スタンダード」と呼ばれるような曲以外にも、ビートルズやビーチボーイズはたまたレディオヘッドの曲なんかも自身のジャズの素材として取り込んで料理してしまうのです。これがまたすごい!

基本的にはボーカルが入っている曲がほとんどですが、彼がプレイするとインストの曲なんではないか?と勘違いしてしまうほどのレベルです。大好きな2曲をご紹介します。

Radiohead「Exit Film」

Beatles「Blackbird」

圧倒的なライブパフォーマンス

では、ライブのレポートをしていきたいと思います。

今回は、シンプルなピアノトリオで「スタンダード」中心の演奏でしたが、逆にシンプルな構成だからこそきらりと光るメルドーの魅力がありました。

アウトロの魅せ方

今回演奏した曲の中で「When I Fall In Love」という曲があったのですが、こちらのアウトロの魅せ方について語っていきたいと思います。この曲はスタンダードでバラードとして演奏される曲なのですが、この曲は今回のセットの中での最後の曲でした。

普通スタンダードのバラードの曲は、
「前テーマ」→「ソロパート」→「後テーマ」という進行が一般的です。

が、メルドーはアウトロをしっかり聴かせるんです。あとテーマが終わったらそのまま終わりではなく、その後ベースとドラムが抜けた後もピアノソロで、完全独自のアウトロを「When I Fall In Love」にたっぷりとつけて演奏しました。はじめは別の曲へのイントロなのかな?なんて思いながら、コードは変わっていきつつも、原曲のテーマはちょっとずつ残しながら、不安定なコード進行にドキドキさせられながらも、最終的に本来のテーマに着地するといった「いやらしい終わり方」(笑)をするんですよね。

完全にやられました。てかほかのお客さんもやられてたと思います。(笑)

インタープレイの魅せ方

もう1点は、インタープレイの魅せ方ですね。

ジョンコルトレーンが演奏しているという3拍子の曲「Inchworm 」を演奏していたのですが、これも「前テーマ」→「ソロ」→「後テーマ」の流れではなく、「後テーマ」に行く前に、「インタープレイタイム」が入ったんです。

インタープレイ
それぞれの楽器がお互いにインスピレーションで掛け合いをしたり、盛り上げたりしたりする即興パフォーマンスのことを指す。

もうこれがめちゃくちゃかっこよくて、、、ですね。

3拍子の曲なんで、当然はじめはピアノ・ベース・ドラムは3拍子で演奏しているわけです。が、だんだんピアノが三拍子の尺でとらず、変拍子でとり始めるんです。すると、まだピアノだけがずれているように聞こえてくるのですが、次はベースも3拍子を刻まなくなるんです。

おいおい、、これ戻ってこれるの?

なんて心配をしていたら、ついにはドラムまでも3拍子を刻むのをやめてしまうのです。

そうなんです、3拍子の曲だったのが、ピアノ・ベース・ドラム、誰も3拍子を刻まなくなったので、何拍子の曲かわからなくなっちゃってるんです。

で、完全にインタープレイですね。お互いに合わせながら盛り上がっていく。ほぼ原曲のイメージは完全に消えていました。が、お互いの音を聴きながらやっているので、徐々に「元に戻すタイミング」というのが流れからわかっているんでしょうね、徐々に戻していき、最終的にはきれいに3拍子に戻し、元のテーマのメロディに戻ったのです。

長年一緒にやってきた「阿吽の呼吸」というのがあるんでしょうね、あれを生で聴いた時にはもう興奮が収まらなかったです。やばかったです。

上記に紹介したアルバムは下記で購入できます。

・Radiohead「Exit Film」↓

・Beatles「Blackbird」↓

まとめ

いかがでしたでしょうか?

かなり熱が入ってしまい、だいぶ長文になってしまいましたが、最後まで読んでいただけたのであれば幸いです。

結局このライブは、「When I Fall In Love」を最後にやった後、スタンディングオベーション&アンコールが鳴りやまず、3回もアンコールに答えてくれるというサービス精神旺盛なブラッドメルドートリオなのでした。

ここ最近あまりライブを見ていなかったのもあり、これを書きながらもまだライブの興奮が収まらないでいる自分に驚いています。やはり、CDで聴く音楽とライブは全く違います。生の音を聴きにライブに足を運んでみてはいかがでしょうか。興奮すること間違いなしです。

ほかにもいろいろなライブレポートを書いているのでよければ見てみてくださいね。

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