今回も友人であるプロライター・特急太郎さんにインタビューを行いました。
今回のテーマは
ブログやライターでの独立は危険?独立するメリット・デメリットについて |
です。
実体験も含め紹介していただきますね。
ライターには二通りのキャリアが存在
ずばり、
・個人事業主なり法人代表者なり、独立して専業で働く ・会社に所属して仕事をしながら、副業ライターとして働く |
の2つがあります。
個人事業主ではなく、あくまでも法人として独立した社長のことを指す。この場合は株式会社など法人格が会社の名前に付いているので、見分けることができる。ちなみに、個人事業主が勝手に株式会社の代表取締役社長、などと名乗ると違法。(※会社法違反)
私の場合は基本的に個人事業主として活動しているので、専業ライターという形になります。いってみれば社長になります。
独立することのメリットとは?
独立して良かったことってなにかありますか?
では、紹介していきますね。
自由に時間が使える
ただし、意外とフリーランスの人って夏休みの宿題を最後の一日で片付けてしまうタイプの人が多いと思うんですが、これはフリーになったら絶対に直さなければ駄目です。さもないと自滅します。
理由を説明していきましょう
大原則として
フリーランスは、自分で全てのスケジュールを管理しなくてはいけない |
からです。納期も含めてです。
納期遅れはプロとして失格ですし、厳格に守らなければ仕事がどんどんなくなってしまいます。
・・・とはいうものの、クライアントさんと信頼関係があって、事情と根拠をきちんと説明できた上での納期遅延については、これは遅延というより「納期延長」と言った方が良いと思います。私も実際にお客様にきちんとご説明を申し上げて、ご納得頂いた場合に限り、納期を遅らせていただくこともあります。
ぶっちゃけプロとしてやっていても一回や二回は納期に遅れてしまうこともあると思います。これを恐れてプロになれない、というのはあまりにももったいないです。
基本的には納期遅延は厳禁なんですが、「とにかくお客様とコミュニケーションを取って、実際問題どのくらいの余裕がある案件なのか?」というのを聞くようにするのもライター処世術の一つですね。
移動がない
これもまた大きなメリットの一つです。つまり出退勤の時間が節約できます。
会社に所属していると通勤時間を作る必要がありますが、ライターとして活動するのであれば、この通勤にかかる時間を削ることができます。
人によっては法人を立てて事務所を借りてしまったがために通勤は変わらなく存在するというケースもありますが、ライターとして独立する場合は最初のうちは事務所を構えないことがほとんどです。
しかし、気持ちの切り替えがうまく行かずに自宅でパソコンに向かったはいいものの、何時間を過ごしてしまい気がついたら原稿ができていないのに日が暮れていたというケースも最初のうちはあるかと思います。最初のうちはと言いましたが、これはライターになって何年か経ってもあるあるです。
つまり
管理してくれる人がいないので自分で管理をしていく |
必要があります。
案件によっては、タイムカードを押したり画面のキャプチャを一定時間ごとに送るタイプの案件もあるので、こういう案件だと独立したとはいえ、時給で働いているような感じにはなるかもしれません。自分のことを管理するのが苦手だという人は、まずはこういう案件から着手しても良いかもしれません。
こういった場合は取引先とはいえども会社の上司のようなディレクターさんが逐一勤務状況をチェックしてくれて、働いていないと当然のことですがペナルティが課されます。
ストレスが少ない
ストレスがないというと語弊があるもので「どの部分にストレスを感じなくなるか」という所をまず考えなければなりません。
一つ言えるのは
対人的なストレスに関しては職場で働いているよりもかなり軽減される |
です。
会社に勤めていると自分でお客さんを選ぶことは原則として出来ません。
しかし、フリーは違います。
よく居酒屋やバーのマスターが
と言ったりすることがありますよね。
これと同様で、自由にお客さんを選ぶことができる権利があるというわけです。自営業者の特権ですね。しかし、お客様をお断りするとそれなりに何かしらのデメリットが生じる可能性もあります。
と吹聴される可能性もあります。
しかし、このような方とお仕事をさせていただくくらいなら、「他の案件で多少単価が下がったとしても気持ちよくお仕事をできるほうが良い」と考えるライターさんもいます。
ライター業というのはかなりメンタルも左右される仕事でもあり、お客様の対応で頭を焦げ付かせていると、なかなか良い文章も浮かばず、そのお客様とやり取りをしていることが苦痛で仕方がないというケースもあります。そうなると作業効率が下がっていき、トータルで見ると減収・減益になる可能性もあります。
この辺りも、きちんと考えておかなくてはならないポイントです。
独立することのデメリットとは?
独立して悪かったこと、といえば良くも悪くも責任の範囲が拡大したというポイントですね。
独立していると当然ですが、全ての意思決定は社長である自分本人が行わなくてはなりません。
・お客様の対応 ・取引先のチェックや品質管理 ・実作業のライティング |
これらについてもすべて自分一人で行わなくてはなりません。
もちろん別の人に任せることもできますが、初心者のライターさんや独立したてのライターさんには収益バランス的に手が出ないのが現状です。
となると、自分で全てのスケジュール管理などを行わなくてはならないため、独立ライターになって少しの期間が経過すると頭がいきなりパンクすることもあります。そんな時には「オンライン秘書サービス(※)」というのもあるようです。
文字通り、オンライン上で秘書のサービスを受けられる商品。
フリーのライターは基本的にクラウド上で仕事をするため、秘書に会社に出社してもらう必要がない。そのため、オンライン上で完結するような形で秘書代行をお願いするケースがある。また、こういったフリーランスの人たちの秘書を専門として行なっているプロのオンライン秘書さんも存在する。
ちなみにオンライン秘書の派遣サービスまで存在し、こちらは月に15万円程度の予算でかなり充実したサービスを受けられる。
収入が不安定になるケースも
ライターとして独立すると、収入の源が基本的にはライター1本になります。
そのため安定性で考えると、会社から給料をもらえているという状況よりもはるかに不安定になります。
独立ですることのメリットとして会社を通さないだけライターとして仕事を受けると報酬額も多くもらえるケースも多いですが、あくまでも業務委託契約ということで、永続的に給料として受け取れるという保証はありません。
実はライター業というのは
ライター業というのはめちゃくちゃ忙しい職種 |
でもあります。
文章を書いていればそれでいいというわけではなく、商品である自分自身や自分のライティングをお客様に売り込んでいくという営業活動も必要となります。
名の売れているライターさんであればネームバリューだけでガンガン売り込むこともできますし、下手したら売り込みをしなくとも依頼が舞い込んでくる場合もありますが、し駆け出しの頃はそうもいかないのが現状です。このあたりは芸能人の売り出し戦略と似ているところがあるかもしれません。
例えば、芸能人の中でも今をときめくアイドルや俳優さんは昔エキストラや劇団員から何とか名前を売っていった、というケースがよく聞かれますが、これと同じです。まずは実績を積んで知名度を上げていかなければ、仕事に繋げることもできません。
特に最初のうちは無名の新人という扱いで仕事をしなければならないため単価も非常に低いため、なかなか収益に結びつかず、さらに予想だにしていなかった様々な雑務に追われてしまい、最終的にライター業を廃業せざるを得なくなるケースもあります。
ここが初心者ライターが挫折する一つの大きなポイントといって良いのではないでしょうか。自分が想定していた範囲外の仕事が入ってきて、思うように自分の仕事が進まないというパターンです。
企業の与信リスクを想定しておく必要がある
ライター業として独立するなら企業の与信リスクについてもきちんと想定しておかなくてはなりません。
これをできるかどうかで、ライターとしてやっていけるかどうかが決まってくるといっても過言ではないです。
取引先が企業の場合はその他のやり取りについてもビジネスライクな部分が大きくなり
・請求書の発行から支払い期日の設定 ・業務委託契約書 ・秘密保持契約書 |
など、やらなければならない事は山積みです。
ビジネスマンとしての経験がないライターさんの場合はこの辺りでまごついてしまい、取引先の企業からいいように使われてしまう可能性もあります。また相手が法人だからといって安心するのはいけません。
最近は会社法の改正により1円からでも会社を作ることができるようになった(※)ので、法人といえども実態がよく分からない会社も存在します。そのため、ある程度与信リスクを自分でチェックするというのもとても大切なことです。
※2006年頃の会社法改正によって、株式会社を作るのに必要な金額は最低資本金1円となった。
これによって1円から会社を作ることができるといわれるようになった。ただし、これは落とし穴があり、会社法改正によって1円に設定されたのはあくまでも会社の最低資本金。実際に会社を作るのに必要な税金などについては金額が変わっていないため注意が必要。
現在は最低でも株式会社一つを作るのに30万円から40万円程度のコストがかかる。以前は会社を一つ作るのに1千万円以上のお金が必要だったことを考えると、はるかに株式会社を作りやすくなったのもまた事実。
総合的に考えると「会社から給料をもらえている時のような形で安定性はまずない」と考えてよいでしょう。
ちなみにこれから独立を目指そうとしている場合には、会社員のうちにクレジットカードはできるだけ作っておきましょう。独立するとその後何年間か、クレジットカードは作れなくなります。つまりそれだけ独立して働いているフリーライターは社会的信用性が低いということです。
ちなみに家賃の保証などについても同じことがいえるので、ライターになってから引っ越しをしようとするとかなり入居審査で難儀することになります。できるだけ独立直後の引っ越しは避けましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回のまとめです。
・自分の裁量で仕事を進めることができるようになる
・ある種のストレスは軽減する
・会社員時代よりも責任が重くなる
・ライター以外にもやらなければならないことは山積み
・独立直後はクレジットカードや入居審査などで苦労するシーンがやってくる
基本的にはライターになって私は良かったと思っていますが、人によっては会社員として働いていた方が楽だ、という方もいます。
1ついえることとしては、何かよほどのモチベーションや必要性に迫られていない限り、いきなり軽い気持ちで専業ライターに転身するというのはやめておいた方が良いです。
まずは副業としてライターをはじめてみて、それでやっていけそうだと確信が得られた時にはじめて本業のライターになるというのがおすすめです。
・独立 ・フリーランス ・ストレスからの解放 |
こういった言葉に魅力を感じるのは分かりますが、それ相応の苦労も必要だということがよくわかりますね。
今の時代は会社員だけは逆にリスクと考えています。ぜひいろいろな副業に挑戦し自分の道を切り開いていくこともとても大事ですね。できることからまずチャレンジしてみましょう。
ぜひ参考になれば幸いです。